過激派組織「イスラム国(ISIS・ISIL)」とみられる集団による日本人2人の殺害警告が波紋を呼んでいます。
後藤健二さんと湯川遥菜さんを人質にとり、72時間以内に身代金2億ドル(約236億円)を支払わなければ殺害するという内容ですが、この動画が加工されたものである可能性が指摘されています。
「クロマキー合成」を利用している可能性
動画の不自然な点について、TwitterやFacebookで指摘する人が出てきています。詳しい人によると「クロマキー合成」という技術を利用している可能性があるようです。また単色オレンジの服も合成の際、抜きやすくしているのではということ。
クロマキー(Chroma key)もしくはクロマキー合成(クロマキーごうせい)はキーイングの一種で、特定の色の成分から映像の一部を透明にし、そこに別の映像を合成する技術。
フィルムでは古くから使われてきたブルーバック合成を模したもので、均質な色の背景の前で人物を撮影し背景に別の映像をはめこむなどの使い方がなされる。アナログビデオ、デジタルビデオの両方で利用され、ライブでの使用も可能である。背景色には人物の肌色と補色の関係にあるブルーやグリーンが多く使用される。
LINK:クロマキー – Wikipedia
先日ニュースでも検証していましたが、確かに「影の位置」や「服のなびき方」など不自然な点があるように見えます。しかし、太陽の位置によっては影がこのように落ちる場合もあるように感じるので、素人にはなんとも判断できませんね。私の場合、二人の表情というか仕草に違和感を覚えたのですが…気のせいでしょうか…
しかし、仮に合成だったとしても日本の対応に影響はないかもしれません。別々の場所で撮影されてたとしても、あるいは撮影に時間差があったとしても、拘束されている事実に変わりはないのです。
236億円という身代金について
国連安全保障理事会の報告書よると、イスラム国が最近1年間で得たとみられる身代金収入は推定で約3500万~4500万ドル(41億~53億円)だそうです。つまり年間収入の4倍以上の額を要求しているということになります。もし236億円という大金を払った場合、今後日本はどのような立ち位置になるのでしょうか。
普通の人間の感覚では人の命と金銭を天秤にかけることはできませんが、イスラム国にとっては格好の標的になる可能性も否定できません。しかも一度要求を飲んでしまえば、同じ事件が起きた場合、日本は身代金を払うしか選択肢がなくなります(払わなければ世論が黙っていないでしょう)。また、それだけの大金が手に入ればイスラム国の資金は潤い、兵士や兵器などを拡充してさらに多くの命が奪われることも危惧されます。
日本政府がどのような決断を下すかはわかりませんが、要求を飲んで身代金を払ったとしても間違いとは思いません。ただ、黙って向こうの言いなりになるのではなく、できる限りの交渉(無理だと思いますが、例えば「今後一切日本人を拘束しない」など)を行うことで少しでも状況が変われば、新たな選択肢が生まれるかもしれません。