緊急事態宣言下で東京五輪を開催?オリンピックは誰のための何のための大会なのか

新型コロナウイルス感染拡大を受けた緊急事態宣言下でも東京五輪が開催できると明言した国際オリンピック委員会(IOC)幹部の発言が波紋を広げています。

オリンピックスタジアム

国内では否定的な意見が多数を占める東京2020オリンピックの開催ですが、この発言はさらに国民の反発を招くことになりそうです。あなたは東京オリンピックは開催すべきだと思いますか?

東京オリンピックは開催すべきなのか

全国の世論調査は

世論調査では「中止とすべき」という意見が最多で、「再延期」と合わせると6割を超えます。

毎日新聞と社会調査研究センターは22日、全国世論調査を実施した。

東京オリンピック・パラリンピックについては、「中止すべきだ」が40%で最も多く、前回(29%)から11ポイント増加した。「再び延期すべきだ」は23%(前回19%)で、「中止」と「再延期」を合わせて6割を超えた。海外からの観客を入れずに開催する現在の方針について、「妥当だ」は20%(同34%)で、「国内の観客も入れずに無観客で開催すべきだ」は13%(同14%)、「わからない」は3%(同4%)だった。

LINK:東京オリンピック「中止」「再延期」が6割超 毎日新聞世論調査

「オリンピックを開催すべきではない」という意見が大勢を占めるのは当然で、国民としてはリスクを冒して海外から人を招いて大会を開催するメリットはほとんどありません。私もチケットを購入してオリンピックを楽しみにしていたのですが、少なくとも現状は安心して開催できる状況ではないと考えます。

そんな中、IOC幹部の発言です。

緊急事態宣言下でも五輪開催

国際オリンピック委員会のジョン・コーツ調整委員長は以下のように発言しました。

国際オリンピック委員会(IOC)のジョン・コーツ調整委員長は21日、たとえ東京で新型コロナウイルス対策の緊急事態宣言が発令されていても、7月23日に始まる予定の東京オリンピックは実施すると発言した。日本では現在、東京をふくめ9都道府県で緊急事態宣言が出ており、23日からは沖縄にも適用される。

LINK:IOC、緊急事態宣言下でも東京五輪は開催

さらに24日、アメリカ国務省は日本に関する渡航情報を4段階で最も厳しい「渡航中止の勧告」に引き上げました。東京オリンピック・パラリンピックへの選手団の派遣に影響はないとのことですが、そもそも国内がそのような状況で開催すること自体に疑問が生じます。

仮に緊急事態宣言下でオリンピックを開催した場合、国民の政府への不満は爆発するでしょう。

日本政府のコロナ対応は一貫性がなく、全てが後手後手です。例えば、密を避けるよう・外出を避けるよう注意喚起しているにもかかわらず、サラリーマンは毎日超密の満員電車に揺られて通勤しています。さらには電車の本数を減らして、より密な状況を作るというちぐはぐさ。テレワークについてもお願いするだけで、具体的に推進する政策はなし。基本的にすべて国民へのお願いベースでギリギリ凌いでいるといった印象です。

こんな中、宣言下でオリンピックを開催したら休業や営業時間短縮を強いられる飲食店・百貨店はもう政府の要請を聞くことはないでしょうし、聞かなくていいと思います。さすがに政府もそんなことは百も承知だと思いますが、今回のIOCの発言は日本政府の立場と考えを共有できていないことがうかがえます。

コロナ禍でオリンピックを開催する方法を模索すること自体は悪いことではありませんし、むしろ模索すべきだと思います。ただし、開催する場合はきちんと一貫性をもって、国民の理解を得ることが不可欠です。オリンピックは誰のための大会なのか、何のための大会なのかを考えた上で結論を出すべきだと思います。

菅首相は「夏の東京オリンピック・パラリンピックは、人類が新型コロナウィルスに打ち勝った証として…」と発言していましたが、このような状況下で開催したからといって勝った証にはならないと思います。リスクを冒して開催するのではなく、いったん後退して、体制を整えてから勝負を挑んでもいいと思うのですが…そんな冷静な判断はできないのかなぁ…