最近、賃金アップの話題をよく耳にしませんか?特に2024年の春闘では、賃上げ率が5%を超えていて「これってすごいことだよね」と驚かされます。でも、ふたを開けてみると、その恩恵を受けているのは主に若手社員なんです。
一方で、40代から50代の「就職氷河期世代」はどうでしょう?賃金がほとんど伸びていない現状があります。私自身もこの世代に属しているので、この問題は他人事じゃありません。厳しい就職環境でスタートした私たちが、今もキャリア面で悩みを抱えているのは正直つらいところです。
今回は、データを交えながら賃金格差が生まれた原因を掘り下げ、改善策を一緒に考えていきたいと思います。
1. 就職氷河期世代ってどんな世代?
厳しい時代に社会に出た世代
就職氷河期世代とは、バブル崩壊後の1993年から2004年頃に就職活動を経験した人たちを指します。この時期は企業が採用を大幅に抑制し、正社員になりたくてもなれなかった人が多くいました。就活はまさにサバイバル状態。非正規雇用を選ばざるを得なかった人も少なくありません。
このスタート地点の違いが、今の賃金格差に影響していると言えるでしょう。
キャリアや生活設計への影響
正社員のポストを得られなかったことで、その後のキャリア形成や資産形成が遅れました。「もう一度やり直したい」と思っても、転職やスキルアップには高い壁があります。また、年金や退職金制度への加入が遅れたことで、将来の生活資金にも不安を抱えている人が多いのが現状です。
2. 2024年春闘に見る賃金動向
若年層が優遇される理由
2024年の春闘では、企業が若年層を最優先に賃上げを行いました。経団連の調査では「30歳程度までの若年層に重点配分」とした企業が34.6%、逆に「45歳以上のベテラン層」に重点を置いた企業はわずか1.1%でした。
なぜこんな偏りがあるのでしょうか?
少子化と人材不足の影響
背景には少子化による人材不足があります。企業は優秀な若手を惹きつけるために、初任給の引き上げや昇給を通じて「うちで働いてほしい!」とアピールしているのです。
年代別の賃金増加率
以下は2019年から2024年までの年代別賃金増加率です。
年齢層 | 賃金増加率 |
---|---|
20–24歳 | 10.3% |
25–29歳 | 9.5% |
30–34歳 | 5.8% |
35–39歳 | 4.8% |
40–44歳 | 0.1% |
45–49歳 | 2.1% |
50–54歳 | -3.0% |
20代は大幅な賃上げの恩恵を受けていますが、40代—50代になると増加率がほぼゼロか、むしろ減少していることが分かります。
参考URL:氷河期世代「死ぬまで踏み台」若手だけ給与上昇、格差あらわに
3. なぜ賃金格差が生じるのか?
厳しい就職市場が与えた影響
就職氷河期世代は、正社員になれなかったことでその後のキャリア形成が大きく制約されました。当時の厳しい労働市場が、長期的な賃金停滞の要因になっています。
年功序列制度から成果主義への移行
日本企業では長らく年功序列が主流でしたが、近年は成果主義が取り入れられています。この結果、若手の育成に力を入れる企業が増え、中高年層の賃金が停滞するケースが目立っています。
4. 賃金格差を埋めるために必要なこと
公平な評価制度を導入する
年齢にとらわれず、スキルや成果を正当に評価する制度が必要です。これにより、中高年層にもキャリアを再構築するチャンスが生まれます。
企業と政治が果たすべき役割
企業と政治が連携して、中高年層を支援する取り組みを進めることが求められます。キャリア支援や再教育プログラムの提供、年金制度の改善など、さまざまな施策が必要です。
リスキリングで未来を切り開く
特にITスキルやデジタル分野の知識は、今後さらに重要になります。企業が中高年層向けに研修や教育機会を提供することは、長期的な人材確保にもつながります。
就職氷河期世代の賃金停滞問題まとめ
賃金格差の問題は、単に世代間の不平等にとどまらず、雇用制度や経済環境の影響が大きいです。若手の育成は重要ですが、中高年層への支援がないと社会全体のバランスが崩れてしまいます。
これからの社会では、時代に翻弄された就職氷河期世代に光を当て、全ての世代が公平なチャンスを得られる環境を築くことが必要です。